養育費未払いに悩む方へ。弁護士が解決策を詳しく解説
目次
1 養育費未払い時の対処法
養育費の未払いが生じた場合、以下のような対応が考えられます。
⑴ 相手への連絡
まずは、相手と連絡が取れるようであれば、連絡をしてみましょう。ただし、過去にDVやモラハラなどを受けていたような場合には、ご自身の心身の安全が最優先です。無理せず他の方法を検討してください。
⑵ 内容証明郵便の送付
次に考えられるのが、内容証明郵便の送付です。これは、相手に対し、請求の意思を明確に伝える意味でも重要です。弁護士に依頼し、弁護士名で送ることもできますが、当事者本人が送ることも可能です。
⑶ 履行勧告
養育費について調停調書や審判書がある場合、裁判所から義務者に対し支払いを促す、「履行勧告」という手続をとることができます。申立ては口頭でも可能であるため、簡便な手続きといえます。一方、罰則や強制的に養育費を支払わせるような効力はないため、実効性を欠く場合が多いという難点があります。
⑷ 履行命令
履行勧告と同様、調停調書や審判書がある場合に、裁判所から義務者に対して支払いを命じる手続です。履行勧告と異なるのは、履行命令の場合、命令に従わず支払いを行わなかった場合には、10万円以下の過料が科される可能性がある点です。この点で、履行勧告に比べ、より強力に履行を促す手続きといえるでしょう。ただし、未払い養育費の直接の回収にはつながりません。
⑸ 強制執行
義務者が支払いを行わない場合、公正証書・調停調書・審判書などにより養育費について定めていれば、強制執行の手続をとることができます。強制執行を実施するにあたっては、差押えの対象となる財産等を把握している必要がありますが、これらの情報を得るための開示手続等も整備されています。差押えの対象は給与債権が一般的で、差押えがされると、義務者の勤務先から権利者に対し、直接養育費相当額が支払われることになります。強力かつ実効的な手段と言えるでしょう。
2 養育費未払いを放置するデメリット
養育費の未払いが生じた場合、速やかに対応をする必要があります。特に、公正証書・調停調書・審判書などで養育費を定めていない場合、未払いを放置すると、その間の養育費を後から精算的に支払ってもらうことができない可能性があります。養育費の支払いの始期は、実務上、権利者が明確に請求の意思を示したときとされているためです。そのため、未払いが生じた場合には、速やかに調停申立てなどの手続をとる必要があります。
3 養育費未払いの防止策
そもそも、養育費の未払いが生じないようにするためにはどうしたらよいでしょうか?対策としては、もし未払いが生じたら、すぐに上記(5)の強制執行ができる状態にしておくことが考えられます。そのためには、養育費の合意をする際、口頭での約束や個人間で書面を交わすだけでなく、公証役場で公正証書を作ったり、調停を申し立てて調停調書を作ってもらったりしておくことが重要です。これにより、万一のときにはスムーズに強制執行ができるだけでなく、支払い義務者にとっては、支払わなければならないというプレッシャーにもなります。
4 弁護士の必要性
養育費の未払いが生じた場合に、速やかに対応をし、払ってもらえない期間が生じないようにするためには、弁護士に早期に依頼をすることをお勧めします。また、そもそも未払いを防止するためには、離婚の時点で、未払いが生じたら強制執行できるような公正証書や調停調書を作成する必要があります。強制執行を可能にするためには、文言にも気を遣う必要がありますので、作成前にはぜひ一度弁護士にご相談ください。