相手に弁護士がついた時に注意すべきこと

相手に弁護士がついたとしても慌てる必要はありません。

 いきなり相手に弁護士がついて弁護士から受任通知という書面が届けば、誰でも困惑し不安に陥ります。ですが、弁護士がついても慌てる必要は全くありません。
相手に弁護士がつくことで、逆にスムーズに離婚の話し合いが進むということも多々あります。

 相手の弁護士から連絡が来ても、弁護士の言うままに安直に合意しないようにしましょう。
自分の意向がある場合は、冷静な態度ではっきりと弁護士に伝えれば良いです。

すぐに回答できない場合は「少し考えさせてほしい」「弁護士に一度相談してから再度連絡する」などと伝え、きちんと検討してから回答するようにしましょう。

相手に弁護士がついたときは、こちらも弁護士をつけるべき？

相手が弁護士をつけたからといって、こちらも必ず弁護士をつけなければならないということはありません。自分で相手の弁護士と話をすることができれば、こちらは自分で対応しても全く問題はありません。

 もっとも、弁護士は法的知識が豊富で、交渉にも慣れているため、自分で弁護士と交渉すると思わぬ落とし穴があるかもしれません。このため、自分で弁護士と交渉する場合は、自分も他の弁護士に相談しながら進めたり、場合によっては自分も弁護士に依頼して代わりに交渉してもらった方が良い場合もあります。

協議離婚の場合

弁護士から受任通知という書類が届くことが多いですが、受任通知を受け取ったら、まずは書類に記載されている弁護士に電話で連絡してみましょう。

弁護士に連絡したら、まずは離婚についての相手の意向について弁護士に改めて確認してみましょう。
受任通知に相手の意向がある程度書かれている場合でも、実際に話を聞いてみればニュアンスが違うということもよくあります。このため、弁護士を通して相手の意向を正確に把握するようにしましょう。

相手の意向を把握したら、それに対する自分の意向を弁護士に伝える必要があります。

・離婚に応じる意思はあるか
・親権者はどちらが取るか
・養育費はいくらにするか
・自宅は今後どうするか
・財産分与としていくら支払うか
・慰謝料を支払うつもりがあるか
などです。

すぐに自分の意向を伝えられない場合は、検討する時間を欲しいことを伝え、よく考えてから回答するようにしてください。

弁護士との話が進み、離婚条件について話し合いがまとまれば、離婚合意書を作成します。離婚合意書の案は、相手の弁護士が作成してくれることが多いです。
相手の弁護士から離婚合意書の案をもらった場合は、それにすぐに署名押印するのではなく、一度持ち帰って検討しましょう。場合によっては、その書類を他の弁護士に見てもらって、自分に不利な点がないかなどを確認しましょう。

将来にわたって養育費の支払いを受ける場合などは、離婚合意書を公正証書にした方が良い場合もあります。公正証書にして欲しい場合は、その旨も相手の弁護士に伝えましょう。

相手の弁護士が強硬で、話し合いをすることが難しいと感じる場合や、財産分与の計算などが複雑で理解することが難しいような場合は、弁護士に依頼して、途中から交渉を代わってもらうということも可能です。

離婚調停の場合

相手に弁護士がついて離婚調停が申し立てられた場合でも、自分で調停に対応することができる場合は、必ずしもこちらに弁護士をつける必要はありません。実際の調停の現場でも、弁護士をつけずに自分で調停に対応している方は多くいらっしゃいます。

離婚調停の場合、相手や相手の弁護士と直接話をするのではなく、家庭裁判所の調停委員を介して話をするため、自分で対応することもさほど難しくはありません。

ご自身で調停に対応されている方の中には、「調停委員が向こうの味方ばかりしている」と感じておられる方も少なからずいらっしゃいます。
調停委員は、基本的には中立公平な立場で話をしていますが、調停を成立させるためにどちらかが多く譲歩をしているという場面も実際には存在しているように感じます。

また、自分で調停に対応する場合、調停委員に自分の意向がうまく伝わっていないという場合も多々存在します。一方で、相手に弁護士が就いている場合、弁護士は調停という場にも慣れていますし、主張書面という書面を提出して、法的な理論がきちんと組み立てられた主張を行いますので、相手の主張が通りやすい場合があるかもしれません。

調停で不利になっていると感じた場合や、調停での話の意味が理解できないような場合は、弁護士に相談しながら調停を自分で進めるか、弁護士に依頼して調停に一緒に行ってもらうのが良いかもしれません。

離婚裁判の場合

相手が弁護士をつけて離婚裁判を起こしてきた場合は、こちらも弁護士をつけて対応することをお勧めします。

裁判となった場合には、調停までと異なり、口頭ではなく書面でのやり取りが中心となってきます。書面で主張していく場合には、当然書面の作成が必要であり、作成にはたいへん労力を要します。また法的知識がないと効果的な主張をすることができません。

また、裁判にはルールがあり、一般の方にとっては難しいことが多いです。裁判手続のルールを正しく理解していないと効果的で有利な主張ができない場合があります。

このため相手が弁護士をつけて裁判を起こしてきた場合は、こちらも弁護士をつけて対応するようにしましょう。

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