離婚時には、次のような内容を決めておく必要があります。
① 離婚についての合意 ② 子どもに関すること ・親権者を誰にするか ・養育費の月額、終期 ・面会交流の頻度や方法 ③ お金に関すること ・財産分与をどうするか ・慰謝料の金額と支払方法 ・年金分割に関する取り決め ・その他の清算について |
これらの離婚条件について双方で合意をし、合意内容を書面にしてから離婚届を提出することが望ましいです。
では、これらの離婚条件を具体的にどのように決めていけば良いのでしょうか。
まずは夫婦の双方が離婚することについて合意していることが前提となります。
離婚について相手の納得が得られていない場合は、民法で定めている離婚原因(民法770条1項)があるかどうかを検討します。例えば、相手による不貞行為や暴力、相当長期間に及ぶ別居などの事情が離婚原因に当たります。
18歳未満の未成年の子どもがいる場合は、子どもの親権者を決めなければ、離婚をすることができません。
親権者は、日常的に主に子どもの面倒を見ている方が親権者となることも多いですが、夫婦双方で話し合って決めて問題ありません。もし、親権者を誰とするかについて夫婦で話し合いがつかない場合は、離婚することができませんので、家庭裁判所に離婚調停を申し立てるなどの方法を取る必要があります。
親権者が決まった場合は、子どもの養育費について決める必要があります。養育費の月額、支払期限、支払い終期、臨時の費用(進学や入院その他)がかかる場合の費用負担はどうするか等について具体的に決めることになります。
養育費の月額については、家庭裁判所では、夫婦双方の年収をベースに算定表を用いておよその金額を算定し、それに個別の事情を考慮して若干修正を加えていくという方法で決めることが多いです。
このため、夫婦双方で話し合って養育費の金額を決める場合でも、裁判所の算定表を参考にして金額を決めるのも一つの方法です。
平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所
もし夫婦双方で合意ができれば、子どもにかかる臨時の費用が生じた場合(入院した場合の費用、進学した場合の費用、その他の教育にかかる費用など)について、夫婦でどのように分担するかについても取り決めをしておくと良いでしょう。
養育費の支払い終期については、家庭裁判所ではこれまでの慣例で20歳までと定めることも多いですが、大学進学が予定されている場合は22歳まで、18歳で子どもが就職して経済的に自立する場合は就職するまで等と決めてもよいでしょう。
子どもの親権者とならない親と子の面会交流についても取り決めを行う場合があります。
家庭裁判所で決める場合は、面会交流の頻度は月1回程度と定めることも多いですが、当事者の具体的事情に応じて柔軟に取り決めを行うことが望ましいです。
また、夫婦によっては離婚後は相手と顔を合わせたくない、会うことができないという方もいらっしゃいます。その場合は、面会に当たって祖父母に協力をしてもらったり、面会交流の補助をしてくれる第三者機関を利用することなどを検討することになります。
面会交流について双方で話し合いがつかない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てて面会交流についての話し合いを行います。しかしながら、調停まで進むと、双方の主張の対立が大きくなったり、子どもが紛争に巻き込まれることになったり、紛争が長期化することもあるため、夫婦双方がお互いの事情に配慮しながら、子どものために話し合いで円満に解決することが望ましいと言えます。
財産分与は、基本的には、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を、お互いが2分の1ずつ取得する内容となるように調整します。
財産の名義が夫名義になっていても、その取得が婚姻期間中であれば、名義にかかわらず夫婦の共有財産として財産分与の対象となります。
財産分与を決める際に大きな問題となるものの一つが、所有している自宅をどうするかについてです。大きく分けると、①自宅を売却して売却代金が残ればそれを折半する、②夫または妻のどちらかが取得して清算を行うの2通りの方法があります。
このうち②の夫または妻のどちらかが取得して清算を行う場合は、現在の自宅の評価額や住宅ローンの現在残高、住宅ローンをどのようにするのかなど、検討すべき問題があります。
また、婚姻前から保有している預貯金や、自分の親から相続した財産は特有財産となり、財産分与の対象にはなりません。その財産が特有財産であるかでもめるケースもありますが、特有財産であると主張する側が証拠を示して証明していくことが必要となります。
子どもの名義となっている口座の預金が財産分与の対象となるかについて問題になる場合があります。基本的には、その口座の中に夫婦のお金が預金されている場合は、口座の名義にかかわらず夫婦の共有財産として財産分与の対象となります。子ども名義の中に児童手当が入っていても、児童手当は親である夫婦に支給されるものであるため夫婦の財産と考えることになります。
財産分与の請求は、離婚成立後2年以内に請求すれば良いので、必ずしも離婚時に決めておく必要はありません。しかしながら、離婚後に改めて財産分与の話をするのも面倒に感じることもあるので、話し合いができるのであれば離婚時のタイミングで決めておくのが良いでしょう。
離婚の原因が、配偶者による不貞行為や暴力などの不法行為にある場合は、慰謝料の取り決めを行うのが良いでしょう。この場合の慰謝料は、不法行為(不貞行為など)に対する慰謝料と、それにより離婚せざるを得なくなった慰謝料(離婚慰謝料)の意味が含まれます。
金額は個々の事情によって異なりますが、100万円~300万円程度で決めることが多いようです。
婚姻期間に応じて厚生年金の標準報酬(年金額を計算する際の基準となるもの)を分割することができます。年金分割の割合は0.5と取り決めることがほとんどですが、もし話し合いが折り合わない場合は、家庭裁判所の審判で決めてもらうことができ、比較的時間もかかりません。
離婚条件について相手と折り合いがつかない場合は、弁護士に相談すれば解決の糸口が見つかるかもしれません。特に、以下のような場合は、弁護士へご相談いただくことをおすすめします。
・不動産の財産分与で話がつかない場合
・相手が感情的になって話し合いができない場合
・相手がDVやモラハラの加害者の場合
・養育費の相場がわからない場合
・財産分与の金額について話がつかない場合
相手と一刻も早く離婚したいからといって不利な離婚条件に応じることはおすすめできません。養育費、財産分与は今後の生活にも大きく影響する大事な取り決めになりますので、後に後悔することのないよう納得のいく離婚条件となることを目指すことが大切です。
離婚条件についてはお悩みの方は、是非一度法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください。
離婚条件の話し合いでは、納得できない要求に対して妥協せずに断ることが重要です。 後になって後悔することが無いように自分の要求を通して、公平な条件で合意を行うためにも交渉のプロである弁護士に依頼することが賢明といえるでしょう。 弁護士への依頼を決めた際は、弁護士の中でも、特に”離婚を専門とする弁護士”に依頼しましょう。 弁護士が取り扱う分野は多岐にわたります。 病院をイメージしていただくと分かりやすいですが、おなかが痛いときには内科、目の調子が悪いときは眼科、鼻水が止まらないときには耳鼻科を受診されると思います。 弁護士も同様に、それぞれに得意な分野があります。専門性が高いほど、交渉において重要になるポイントを抑えており、案件慣れしているため優位に交渉を進める方法を熟知しています。
弁護士に依頼するもう一つのメリットとして、協議によって決まった離婚条件を文書として残す際に法的な助言を得られる点です。 夫婦間の話し合いで取り決めた内容を「公正証書」として文書の形で残し「債務不履行時に強制執行」が可能となる様に文言を入れておくことで、離婚後に相手方が慰謝料や養育費の支払いを拒んだ場合に裁判を起こすことなく相手の財産を差し押さえて支払いを受けられるようになります。 離婚後のトラブルを避けるためにも、弁護士のアドバイスの元で公正証書の作成を行うことが大切です。
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