離婚を考えるときに、一番不安に思うのが離婚後のお金の問題ではないでしょうか。
離婚後に生活をしていけるのか、住むところはどうするのか、子どもの教育費を支払っていけるのか、老後の生活はどうなるのかなど、離婚に関するお金の問題を解決しなければ、離婚に踏み切る決意ができないかもしれません。
離婚に伴って決めておくべきお金の問題としては、①財産分与、②養育費、③年金分割、④慰謝料があります。
離婚後に後悔することのないよう、これらについて十分に検討した上で、納得のいく内容にする必要があります。
離婚するときに最も大きな問題の一つとなるのが財産分与の問題です。
財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築き上げてきた財産を公平に分配することです。
基本的には、夫婦の共同財産を半分(2分の1)ずつ分けるということなので、一見簡単なようにも思えますが、ここが離婚の際に最ももめる事柄の一つとなっています。
財産分与には、①夫婦の共同財産を清算する要素(清算的財産分与)、②離婚後の生活費の一時的な援助の要素(扶養的財産分与)の他、③慰謝料の意味合いを含むもの(慰謝料的財産分与)があります。
清算的財産分与は、財産分与の中核となるもので、夫婦が婚姻中に共同で築き上げた財産を清算するというものです。
具体的にどのような財産を分けるかということですが、夫婦が婚姻中に購入した家、車、有価証券(株など)、高価な動産(宝飾品、美術品など)、家財道具や、預貯金、保険金などが代表的なものとしてあげられます。
また、場合によっては将来受け取る予定の退職金や年金なども、財産分与の対象となります。
なお、財産の名義がどうなっているかは関係ないので、例えば購入した家の名義が夫のみの名義になっていても、夫婦が共同で築き上げた財産であれば、共有財産として財産分与の対象となります。
また、タンス預金やへそくりなどどちらか一方が管理しているようなものであっても、同様に、夫婦の共有財産として財産分与の対象となります。
さらに、妻が専業主婦であり、主に夫の収入で家を購入したとしても、一般的には妻が主婦として家事労働をしてその協力や貢献により得ることができたという場合が多いと思いますので、その場合はその家も財産分与の対象となります。
養育費とは、子どもが社会人として自立するまでに必要となる費用です。
衣食住にかかる費用、学費、医療費、娯楽費など、自立するまでに必要となるすべての費用が養育費にあたります。
養育費が支払われる期間の目安としては、基本的には子どもが成人する20歳までですが、子どもの自立状況に応じて、高校卒業までの18歳、大学卒業までの22歳となる場合もあります。
財産分与や慰謝料は一括で支払われることが多いですが、養育費は一括で支払われるということはなく、毎月1回など定期的に支払ってもらうことになるのが通常です。
養育費の金額については、裁判所が示す算定表がおおよその目安となります。この算定表は、養育費を支払う側と支払われる側の年収によって金額が決められており、支払う側の年収が高いほど、支払われる側の年収が低いほど、養育費の金額がより高額になるよう定められています。
公的年金には、原則として20歳以上のすべての国民が加入する義務がある国民年金と、会社員が加入する厚生年金、公務員が加入する共済年金があります。
国民年金は受給資格を満たせば誰でも受給できるので、離婚に際して特に問題とはなりません。問題となるのは厚生年金と共済年金です。
例えば、夫が会社員で妻が専業主婦である場合、夫が厚生年金に加入し、妻は保険料の負担のない第3号被保険者となります。
そして、夫婦が離婚した場合、年金を分割して妻も分割された年金を直接受け取ることができるようになりましたが、分割するのは厚生年金(または共済年金)にあたる部分のみとなります。また、分割することができるのは、結婚期間中の部分に限られることになります。このため、離婚して年金分割の手続をしたけれども、受け取れる年金の額が意外と少なかったというケースも多いようです。
そして年金分割の方法ですが、平成20年4月1日以前と以降では扱いが異なります。
すなわち、平成20年4月1日以前の分は、夫婦の合意により年金を分割する「合意分割」となり、それ以降の分は「3号分割」と呼ばれる制度によることになります。
「合意分割」と「3号分割」が少しわかりにくいので説明します。
合意分割とは、夫婦で話し合って分割の合意を行うもので、最大で2分の1を限度に分割することができます。もし、夫婦で話し合いをしても合意ができなかった場合は、家庭裁判所に調停を申立てて、分割割合を決めることができます。
また、3号分割とは、第3号被保険者(専業主婦など)のみを対象に、妻が専業主婦であった期間は、自動的に夫の厚生年金を2分の1の割合で分割するという制度です。
3号分割は、すでに述べた合意分割とは異なり、夫婦間で分割割合の合意をする必要がありません。このため、家庭裁判所で分割割合を決めてもらう必要もありませんので、年金分割の処理が非常に簡便となります。
夫が会社員で妻が専業主婦(第3号被保険者)の場合で、平成5年に結婚して平成25年の3月に離婚する(結婚期間20年)という例を使って説明します。
この場合、平成20年4月~平成25年3月までの5年間分のみが、「3号分割制度」の対象となり、2分の1の割合で自動的に分割されます。
それまでの15年間(平成5年~平成20年4月1日まで)については、「合意分割制度」に基づいて処理します。つまり、夫婦間で話し合い、2分の1の割合で分割する合意を行います。そして、もし合意が得られなければ家庭裁判所に調停を申し立て、年金分割の割合を決めることになります。
なお、3号分割は専業主婦などの第3号被保険者を対象とするので、共働きの夫婦の場合は適用がありません。
共働きの夫婦の場合には、夫婦それぞれが厚生年金や共済年金に加入していることになりますが、夫の標準報酬が妻よりも多いときに夫の年金を分割することが可能です。この場合は年金が自動的に分割される3号分割の制度の適用はなく、合意による分割のみとなります。
離婚条件の話し合いでは、納得できない要求に対して妥協せずに断ることが重要です。 後になって後悔することが無いように自分の要求を通して、公平な条件で合意を行うためにも交渉のプロである弁護士に依頼することが賢明といえるでしょう。 弁護士への依頼を決めた際は、弁護士の中でも、特に”離婚を専門とする弁護士”に依頼しましょう。 弁護士が取り扱う分野は多岐にわたります。 病院をイメージしていただくと分かりやすいですが、おなかが痛いときには内科、目の調子が悪いときは眼科、鼻水が止まらないときには耳鼻科を受診されると思います。 弁護士も同様に、それぞれに得意な分野があります。専門性が高いほど、交渉において重要になるポイントを抑えており、案件慣れしているため優位に交渉を進める方法を熟知しています。
弁護士に依頼するもう一つのメリットとして、協議によって決まった離婚条件を文書として残す際に法的な助言を得られる点です。 夫婦間の話し合いで取り決めた内容を「公正証書」として文書の形で残し「債務不履行時に強制執行」が可能となる様に文言を入れておくことで、離婚後に相手方が慰謝料や養育費の支払いを拒んだ場合に裁判を起こすことなく相手の財産を差し押さえて支払いを受けられるようになります。 離婚後のトラブルを避けるためにも、弁護士のアドバイスの元で公正証書の作成を行うことが大切です。
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