配偶者以外の者と性的関係を持つと、不貞行為になります。不貞行為があると、民法上の離婚原因となりますが(民法770条1項1号)が、その他に、配偶者から慰謝料請求を受ける可能性があります。
また、不貞行為とは、いわゆる肉体関係を伴う行為に限られるものではなく、婚姻関係を破綻させる蓋然性がある行為も含まれると考えられています。このため、性交渉だけではなくこれに準じる性交渉があった場合も、不貞行為があったとして慰謝料請求を受ける場合があります。
不貞行為があった場合、配偶者から慰謝料請求を受けると、基本的には慰謝料を払わなくてはいけません。
では、慰謝料はいくら支払わなければならないのでしょうか。
弁護士などから通知が来て慰謝料請求された場合、その金額を支払わなければいけないのかと思いますが、決してそのようなことはありません。実際に裁判で実際に認められる金額よりも高い金額で請求される場合もありますので、請求金額が妥当な金額であるかを検討してから支払うようにします。
裁判で認められる慰謝料の相場は、不貞行為が原因で結婚生活が破たんした場合(離婚に至る場合)は、100万円~300万円程度が最も多く、概ね80%の裁判例がこの金額の枠内に入っています。結婚生活が破たんしていない場合は、100万円未満となることがあります。もちろんこれより多くなるケースや少なくなるケースもあります。
慰謝料の金額の考慮要素としては、不貞行為が始まった時点での夫婦関係、不貞行為が始まった経緯、不貞行為の期間や回数、不貞行為が発覚した後の事情、不貞行為によって離婚に至ったかなどの事情があります。
自分の場合はいくらぐらいが妥当なのか知りたい方は弁護士にご相談ください。
不貞行為が始まったときには、すでに婚姻関係が破綻していたという場合は、慰謝料請求は認められません。
慰謝料請求の裁判でもこの抗弁が主張されることが非常に多いですが、実際の訴訟において、この「婚姻関係が破綻していた」という抗弁が裁判所によって認められることは稀です。
ここでいう「婚姻関係が破綻していた」というのは、「婚姻関係が形骸化し、復元の見込みのない状態に至っていること」を言います。単に婚姻関係が悪化しているだけや、希薄化しているだけでは足りません。また、寝室を別にしていた、肉体関係を持たなくなっていた、会話がなかった等の事情では婚姻関係の破綻が認められないことがあります。
このように婚姻関係の破綻が認められる要件が非常に厳しいため、「すでに婚姻関係が破綻していたから慰謝料は認められない」という主張は認められないことが多いのです。
婚姻関係が破綻しているかどうかの判断要素の大きなものとしては別居です。別居が長期間に及んでいたなどの事情があれば婚姻関係が破綻していたという認定に繋がりやすくなります。
不貞行為をしていないのに、慰謝料請求を受けてしまったらどうすれば良いのでしょうか。
この場合、まずは不貞行為がなかったことを主張し、慰謝料請求の支払いを拒否することになります。そして、拒否をし続けていると、相手から慰謝料の支払いを求める裁判を起こされる可能性があります。
裁判となった場合、慰謝料請求をする側が、不貞行為の事実を証明する必要があります。
このため、慰謝料請求を受けた場合、もし証拠を見せてもらえるのであれば証拠を見せてもらいましょう。
その中でもし誤解を招くようなものがあれば、その誤解を解くように話し合いを進めてみましょう
もし裁判に耐えらえる証拠が相手になければ、こちらが繰り返し不貞行為の事実はなかったと主張をし続ければ、相手は裁判を起こすことを諦めるかもしれません。
どのように交渉すれば良いかわからない場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。本人同士だと感情的になって交渉交渉が難しい場合は、交渉自体を弁護士に任せることもご検討ください。
相手との間で、支払う慰謝料の金額が決まって支払いをする場合でも、これ以上慰謝料を請求されないように清算条項を入れた示談書を作っておきましょう。
また、その際、周囲の人に不貞行為があったことや、慰謝料を支払った事実、慰謝料の金額などについて口外を禁止する秘匿条項を入れておくとよいでしょう。
示談書の作成のやり方が分からない場合は、弁護士に相談して進めると良いかもしれません。
以下のような場合は、是非一度、法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください。
○配偶者以外の人と肉体関係を持ってしまい、慰謝料請求を受けている
○請求されている慰謝料の金額が妥当かどうか知りたい
○不貞行為をしていないのに慰謝料請求されている
もう少し詳しい情報を知りたい方は・・
請求された慰謝料は、請求された金額をそのまま支払わなければいけないわけではありません。不貞行為をした状況やあなたが深く反省をしているなど様々な要因によって、慰謝料を減額することができる可能性があります
感情的な対立になってしまう傾向にある不倫をめぐる慰謝料問題では、あまりに過大な要求をされてしまうことや脅迫めいた言葉を言われてしまうこともあります。そうした要求や発言に対応することは非常に大きなストレスがかかります。しかし、弁護士に依頼することで、ご自身は相手と直接やりとりをすることがなくなり、法的に不当な要求には毅然として対応することができます。
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