最近は、モラルハラスメント(モラハラ)が広く認知されるようになってきました。当事務所でも、モラハラを理由に離婚を希望される方は非常に多く、モラハラが、離婚理由の1、2を争うといっても過言ではありません。以下では、モラハラによる離婚について解説していきます。
モラハラは、一般的に精神的虐待といえる相手の言動を意味します。これに限らず、相手に精神的苦痛を与えるような嫌がらせを広く含む言葉として用いられています。
相手の言動がモラハラに当たるかについては判断が難しいことが多いです。相手の一つ一つの言動だけを取り出して見ると特に問題には見えなかったりするのですが、これまでの夫婦間で起きた出来事や言動を重ね合わせると、相手の言動の意味するところがわかり、それが相手に対する嫌がらせや精神的虐待となることがあるためです。
例えば、相手が無視する、話をしないという行為も、それだけを見ると離婚するような大したことではないかもしれません。しかし、無視が始まると1か月はそれが続く、無視の後に怒鳴られたり長時間の説教が続く、というような事情が夫婦間にあれば、相手の「無視」は単なる無視ではなく、相手による無言の圧力だったり精神的虐待の意味を持ったりするのです。
妻が夫のために食事の準備をしたのに食べないということも、事情によってはモラハラに当たります。妻が作った料理に特に問題がある訳ではないのに、夫が「用意が遅い」「食べたかった料理ではない」などと言いがかりつけて食べない、気に入らないからといってコンビニに別の食べ物を買いに行くなどの行為もモラハラになる可能性があります。これは、妻を支配して自分の意のままにコントロールしようとする行為に他ならないからです。
モラハラは、配偶者に精神的苦痛を与えるものであり、相手のモラハラにより心のバランスを崩し、うつ症状が出る方もいらっしゃいます。このため相手のモラハラにより離婚を決意することは全くおかしなことではありません。
モラハラをする配偶者の中は、気に入らないことがあると「離婚だ!」「出ていけ!」などと暴言を吐く人もいるようです。ですが、実際にモラハラに耐えかねた配偶者が家を出ていくと、反省したような態度を見せ、「悪いところは直すから帰ってきてほしい」などと言って、離婚に応じない場合も多いようです。
その場合、モラハラを理由として裁判所の判決により強制的に離婚ができるでしょうか。つまり「モラハラは法律上の離婚原因に該当するか」という問題です。
裁判実務では、日々のモラハラの積み重ねを証拠によって立証すること自体が難しいこともあり、モラハラに該当する事実(嫌がらせ)それ自体が決定的な離婚事由として認められることは難しいことが多いです。しかしながら、他の事情と併せて考慮することで、離婚事由として認められる場合はあります。
例えば、夫のモラハラに耐えかねて妻が夫と別居し、そのまま一定期間が経過したというケースでは、夫が拒否しても裁判所が婚姻関係が破綻して回復の見込みがないとして、離婚を認めてくれる可能性があります。
離婚訴訟の実務においては、別居開始日(別居期間)及び別居直前の経緯が重視されることがあります。
このため、例えば、結婚当初に夫や義理の両親からされた嫌がらせとも思えるような言動などを事細かに主張しても、裁判所はそれらの事情を重視しないことも多いです。また、日常の些細な相手の言動を離婚原因として主張しても、かえって決定的な破綻原因が無いことや、離婚を求める側の有責性を誤魔化すために詳細な主張をしているのではないかといった疑念を招いてしまうリスクもあります。
このため、例えば、別居のきっかけとなった大きな夫婦間の出来事を中心として、そこに至るまでの経緯やそれまでの過去の大きな出来事、日常的な相手のモラハラ行為を主張するなどして、裁判所の判断枠組みを意識した簡潔かつ的確な主張・立証活動を行う必要があります。
モラハラ夫は周りから自分がどう見られているかをとても気にされる方が多い傾向にあります。また、プライドが高く、「仕事ができる」「才能がある」「優秀である」と見られたいと思っています。実際、仕事ができる人も多く、一流企業に勤めていたり、経営者であったり、医師、歯科医師などのいわゆる「エリート」と呼ばれる職業についている人も少なくありません。外面が良く、他人から見ると非常に良い人のように振舞っており、「まさかあの人がモラハラをするなんて」と思われるような人である場合も多いです。
モラハラ夫の特徴として、何か問題が起こった場合、自分の非を認めません。このため、謝罪をすることもありません。
自分が浮気をしたとしても「浮気させるようなお前が悪い」「お前に魅力がないからだ」というように相手のせいにしたり、何か問題が起こった際には「誰のおかげで飯が食えていると思っているんだ!」などと話をすりかえる傾向があります。そう言われた妻は、そうではないのに「私が悪いのだ」と思い込んでしまいます。
突然怒ることがあることもモラハラ夫の特徴です。そうすることで、自分が優位に立とうとします。定期的に怒ることで夫婦関係に上下関係をつけたいのです。また、エリートの夫は抱えているストレスが大きく、ストレスの捌け口として妻に対して不当な怒りをぶつけたりすることもあります。
テレビを見ていると突然「うるさい!テレビを消せ」といった具合に突然怒り出したりします。
モラハラをする人の中には、お金の面で非常にケチである人も多いようです。例えば、明らかに足りない金額の生活費しか渡さない、生活費の使い方について細かい事までチェックして制限する、自分の趣味や好きなことにはお金を使うのに、配偶者や子どものためのお金は出したくないなどの態度を取ることが多いようです。
この根底には、金銭的に締め付けて配偶者を意のままにコントロールしたい、自分の立場が上であると分からせたい、配偶者には自分ほど良い生活をさせる必要はない等という心理があるのかもしれません。
モラルハラスメントは家族内という人間関係の中で行われるため、周囲には気付かれにくいのが一般的です。また、モラハラ夫は、見た目はとても穏やかな人である場合が多く、周囲に対しては「いい夫」を演じているので、周囲にはなかなか理解してもらえないこともあります。
モラルハラスメントの被害者の多くは「私が間違っている」「私が悪い」と思い込みます。モラハラの被害者の人は優秀で素直な性格な人も多く、自分が悪かったからその点を治さないといけないと思ったり、自分が至らなかったと思って、努力を続けてしまったりするようです。
「夫が帰宅してドアがバタンと閉まる音が聞こえると怖い」
「夫の気分を害さないように、言葉に気を使って話さないといけない」
「夫が家にいると常に緊張する」
このような状態は、夫婦として家族として正常な状態とは言えません。普通の夫婦は、相手を怖いと思って生活していません。このような方は、配偶者がモラハラであるかもしれないと疑ってください。
夫婦関係のことについては、他人には相談しにくい問題です。このため、相談できずに第三者の意見を聞くことができない結果、自分の配偶者がモラハラであると気づくことが遅れることも多いのです。
モラルハラスメントは改善することは少なく、どんどんエスカレートしていく傾向があるようです。モラハラ加害者は、配偶者を自分の意のままに支配しようとしてモラハラをするのですが、モラハラをしても配偶者が自分の言うことを聞かない場合は、さらにモラハラがエスカレートしていくという構図のようです。
最初は我慢していても、モラハラがエスカレートしてくると耐え切れない程の苦痛になり、心身ともに消耗しきってしまいます。また、モラハラをする人は、その両親の関係がモラハラ的な夫婦関係であったことも多いようです。このため、生まれたときからそのような夫婦関係が普通であると思って育ってきており、根本からその考えを変えることは難しいかもしれません。
当事務所にはモラルハラスメントで悩まれている多くの方がご相談に来られます。過去のご相談者、依頼者からのモラハラに関する相談を多数お受けしてきた経験から、現状において最適と思われる方策をご提案させていただくことが可能です。「こんなことで相談しても良いのかしら?」「離婚できないのでは?」などと一人で悩まれずに、まずはご相談ください。
解決の糸口を見つけられるよう最大限努力させていただきます。
モラハラ離婚に見られる特徴は、モラハラ被害者に被害者としての意識がないことです。
被害者の親や友人が、被害者から連絡がなくなったことや体調が目に見えて悪化していることで、被害者の異常に気づきモラハラが発覚したという事例は多く見られます。被害者を心配した親や友人の助言ではじめて、被害者は自分がモラハラ被害に遭っていることを自覚するのです。
モラハラに気づいたら、まずは準備が整い次第、一刻も早く別居して相手と離れることが必要です。
別居するときも、モラハラ加害者に話をして別居の了解を得ることは通常は難しいので、別居の話をすることなく家を出ていく必要があります。このとき罪悪感を抱く方もいらっしゃるのですが、いわゆるハラスメント被害から逃げることは自分を守るための正当な行為であり、何ら悪いことではありません。
加害者と被害者の間で精神的な上下関係が成立している場合や、相手の価値観に洗脳されてしまっているような場合は、被害者は、常に加害者が自分の行動をどう思うかを心配してしまうので、別居してもしばらくの間は、加害者のことを考えて辛い時間を過ごすことになるかもしれません。ですが、時間の経過とともに、次第に本来の自分を取り戻し、モラハラ加害者が悪いのだと考えることができるようになります。
モラハラ加害者と離婚協議を行う場合、通常のケースよりも紛争が長期化する傾向があるように感じます。例えば、モラハラ加害者は、自分は悪くなく、モラハラ被害者に非がある等と指摘し「家事がなっていない」「お金の管理がなっていない」などと、法律的に重要でない主張を展開して話をそらそうとしたり、何度も自分の意見を撤回したり変更するなどすることがあるためです。また、モラハラ加害者は、相手を侮辱する発言をしたり、細かい言葉の言い回しを指摘するなどして、肝心の話し合いが進まないということもよくあります。
このためモラハラ加害者との離婚は、自分で対応せずに弁護士を依頼するか、調停を申し立てて家庭裁判所で調停委員を介して話し合いを行うというのが良いかもしれません。
モラハラ加害者は、最初は反省したような態度を見せて「悪いところを直すから離婚しないでほしい」と言ったりするのですが、その後、こちらの離婚の決意が固いと分かると、今度は一転して「離婚には応じるが、お前には一銭も金を支払わない」という態度に変わることが多いです。
その場合、例えば、結婚期間中のお金の使い方などを指摘してきたり、「隠し財産があるのでは」と根拠もなく疑い、金銭的に細かい主張が繰り広げられることも多いです。このため、離婚の話し合いの途中で、話をすることが嫌になってきたり、話し合いが全く進まなかったり、紛争が長期化してしまうことがあります。
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モラハラ被害者が離婚をためらう大きな理由は,加害者である相手方との離婚交渉を負担に感じるからです。 たとえ周りが,離婚するようを説得しても,離婚の話を切り出すことの精神的負担,加害者からの報復の恐れ,離婚の話し合いを継続することの疲労感から現状維持を選択してしまう被害者は多くいます。
モラハラをしている側は、被害者の離婚の申し出に応じない場合が多く、精神的に弱った被害者だけでは離婚まで至ることは困難です。弁護士にご相談いただければ,被害者の代理人として加害者と離婚の話を進めることができます。 一般的な離婚までの流れとして,まずは弁護士に相談のうえ,離婚までどのように進めるのかを打ち合わせます。そして,被害者の別居とともに弁護士が窓口となり加害者に離婚の意思を伝えます。その後は,弁護士と加害者の間で交渉を行い,離婚条件をまとめていくことになります。
離婚を切り出した後の加害者との折衝は弁護士に任せることができます。弁護士に依頼をする事で安心して言いたいことを弁護士を通して伝えることができます。
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