離婚後の養育費について弁護士が解説
目次
養育費とは
養育費とは、未成熟子が経済的・社会的に自立するまでの間に要する子の生活費用のことをいいます。
離婚により、一方の親が子の親権者となって子を養育している場合に、子を養育していない親から養育している親に養育費が支払われることになります。
養育費はどのようにして決めるか
養育費の支払いについては、原則として父母が協議によって決めることになります。
父母で協議をしても決まらない場合や協議ができない場合は、家庭裁判所に調停を申立てる方法があります。
調停でも養育費が決まらない、相手が調停に出席しないために養育費を決められない等の場合は、審判手続に移行し、家庭裁判所が審判により養育費を定めることになります。
養育費の相場は
養育費の金額については、適切な金額を簡単に確認できるよう、裁判所のホームページに算定表が公開されています(養育費算定表 | 裁判所)。
算定表では、双方の年収、子の数、子の年齢から、簡易迅速に適切な金額がわかるようになっています。ただし、給与収入とは別に副業の収入がある、自営業で税金対策をしている、といったケースでは算定表のみから適切な額を算出することが困難な場合があります。そのような場合には、算定表が基礎としている計算方法等を参照して金額を算出する必要があります。
養育費はいつまで支払われるか
養育費は、子が「未成熟子」である間は支払われることとなります。
「未成熟子」とは民法上の未成年とは必ずしも一致する概念ではなく、子どもに経済的な自立が期待できるかどうかという観点から判断されます。子が18歳となり成人となっても学生である場合には未成熟子となり、養育費を義務者は養育費が認められる場合が多いでしょう。
一方、高校を出てすぐに就職したなどの事情があれば、就職時点で義務者が養育費を負担する必要はなくなります。
公正証書や調停調書で残しておくことが望ましい
養育費について、協議で解決できる場合であっても、万が一支払いが滞った場合などに備えて、公正証書を作成しておくことが望ましいといえます。
公正証書があれば、支払いが滞った場合に、スムーズに強制執行の手続きをとることができるためです。公正証書は、各都道府県に設置されている公証役場にて作成することができます。作成には費用がかかりますが、自治体によっては補助金制度が利用できる場合もあります。
なお、調停や審判で終了した場合には調停調書や審判書による強制執行が可能ですので、別途公正証書を作る必要はありません。
養育費未払いへの対応
養育費の未払いが生じた場合、公正証書・調停調書・審判書といった書面がある場合と、これらがない場合では、手続が大きく異なります。
いずれの場合でも、相手の連絡先や住所を確認し、支払いを行うよう通知することになります。調停や審判を行っている場合には、裁判所から履行勧告という連絡をいれてもらうことも可能です。それでも義務者が支払いを行わない場合、公正証書・調停調書・審判書があれば、それらを裁判所に提出し、強制執行の手続きに移るのが一般的です。
詳細については、こちら【養育費未払いに悩む方へ。弁護士が解決策を詳しく解説】をご覧ください。
弁護士に相談する
当事者間での協議が困難な場合であっても、弁護士をいれることで法的に適切な額によるスムーズな合意につなげることができます。特に、単純に算定表にあてはめることができないような事情が存在する場合には、判例の調査や算定表の基礎となる考え方に遡った算定を行うことが有効となります。このような事情がある事案は、弁護士を入れたほうが良い事案と言えるでしょう。
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