婚姻の本旨に反する別居と単身赴任
1.婚姻の本旨に反する別居とは
離婚をするにあたり、合意できれば離婚は成立するのですが、合意ができない場合、離婚訴訟の判決で離婚が認められるには、法律で定められた離婚理由が必要となります。
その場合、不貞行為などの明確な離婚理由があればよいのですが、そのような理由がない場合でも、 婚姻の本旨に反する別居が一定期間に及べば、婚姻を継続し難い重大な事由として、離婚理由が認められる可能性があります。
上記の婚姻の本旨に反する別居の一定期間とは、別居に至る理由や婚姻期間、別居までの婚姻生活の態様など諸般の事情によって異なりますが、一般的には3年、長くても5年ぐらいと思われます(但し、有責配偶者からの離婚請求の場合を除きます)。
2.婚姻の本旨に反する別居の開始時期と注意点
離婚を前提とした別居をお考えの方は、次の点に注意されるとよいでしょう。
まず、別居をしたという事実とその時期を証明する資料を収集・保管してください。
具体的には、 別居先の賃貸借契約書や水道・光熱費の領収書、引落口座の履歴などが考えられるでしょう。
別居をした事実とその時期に争いがなければよいのですが、その事実に争いがあったり、その時期が事実と違っていたりした場合、調停段階や訴訟段階においてそれを証明する資料が必要となることがあります。
また、婚姻の本旨に反する別居であるということが客観的にわかるような証拠を残しておかれるとよいでしょう。
特に、単身赴任をされている方の事案などですと、今回の別居が単身赴任によるものなのか、婚姻の本旨に反する別居によるものなのかが不明瞭な場合があり、後に争いになる場合があります。
具体的には、離婚の意思を伝える旨の配達証明付きの内容証明郵便や、離婚調停をされた場合ですと申立書の写し等が考えられます。
離婚を前提とした別居をお考えの方でお悩みの方は、離婚問題に詳しい弁護士にご相談ください。