離婚後、単独で子どもと引越先を決めることはできるか?【共同親権】

Q.離婚に際して共同親権とした場合に、離婚後、母が子との転居先を単独で決めることはできるのでしょうか?

A.原則として、単独で決めることはできません。

共同親権下での親権の行使方法

共同親権となった場合、すべての決定を二人で行うわけではありません。
行為の性質や緊急性に応じて「単独で行使できるもの」と「共同で決定すべきもの」に分類されます。

分類 内容・具体例 行使方法
日常行為 身上監護に関し子に重大な影響を与えない行為。(例:食事、服装、短期間の観光旅行、通常のワクチン接種、習い事、高校生のアルバイト許可など) 単独で行使可能(主に同居親が決定)
急迫事情 子の利益のため差し迫った事情がある場合。 単独で行使可能
重要事項 身上監護に関する重大行為(例:転居、進学先の決定、長期海外留学、心身に重大な影響を与える医療行為など)
財産管理行為(口座開設など)
身分行為の代理(氏の変更等)
共同行使が原則(父母の協議が必要)


子の居所の決定は、子供の生活環境を定める「身上監護に関する重大行為」に当たるため、原則として父母が協議して共同で決定する必要があります。

父母間で意見が対立した場合

では、共同親権下において、母が子とともに転居したいと考えているのに、父がこれに反対している場合はどうすれば良いでしょうか。

このような場合は、家庭裁判所に対して「特定事項に係る親権行使者の指定」の申し立てを行います。
これにより、家庭裁判所に「子の居所の決定について、父と母のどちらに決定権を持たせるか」ということを決めてもらいます。

なお、子の転居について急迫の事情があるような場合は、単独で親権を行使することが可能です。

裁判所の判断基準

では、家庭裁判所はどのような基準で「子の居所の決定」をする親権者を決めるのでしょうか。

家庭裁判所は、子が「A市とB市のどちらに住むのがよいか」という選択内容の適否を直接判断するのではなく、子の居所を決める親権行使者を父母のどちらとするかを決めることになります。

そして、これについては「父母のいずれを親権行使者に指定するのが子の利益にかなうか」という観点で親権行使者を決定します。

子の居所は、子の日々の生活の基盤となるため、父母のどちらが子の監護者にふさわしいか(=どちらがメインで子を育てるのが適切か)という基準で親権行使者が決定されることになると思われます。

まとめ

このように、共同親権下での子の居所の決定は、まず父母間で話し合いを行うことが基本です。

父母の意見が対立した場合は、家庭裁判所が「どちらの親が主たる養育者としてふさわしいか」を審理し、父母の一方に「居所を決める権限」を与えるという形で解決することになります。

しかしながら、子の居所の決定に関して父母間で大きく対立することは、子にマイナスの影響を与えることもあります。このため、父母間で円満に話し合いを行って早期解決することが望ましいといえるでしょう。

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