【改正法】祖父母の面会交流権
目次
祖父母と孫との面会交流についての規定はなかった
祖父母は、自分の孫との面会を求めて家庭裁判所に調停・審判の申立てができるのでしょうか。
現在の裁判所の運用では、祖父母が孫との面会交流を求めることができないとされています。
最高裁判所も、民法に規定がないことを理由に、父母以外の第三者は家庭裁判所に対し子との面会交流について定める審判を申し立てることはできないと判断しています(最高裁令和3年3月29日決定)。
親以外の第三者が面会交流を求めることができるように
令和6年5月17日、家庭裁判所の審判によって父母以外の親族と子との面会交流を定めることができるとする、民法の改正案が成立しました。この改正法は、令和6年5月24日に公布されました。施行日は、同日から2年以内です(附則第1条)。
この民法の改正により、祖父母も、家庭裁判所に対し孫との面会交流について定めることを求めることができるようになります。しかし、いつどんな場合でも申し立てることができるわけではありません。濫用的な申立てを防ぐために、申立てができるのは「他に適当な方法」がない場合に限られます。「他に適当な方法」がない場合とは、父母の一方の死亡や行方不明等の事情によって父母の協議・父母からの申立ててが不可能な場合が想定されています。
どのような場合でも父母以外の親族と子との交流が認められるわけではない
祖父母が家庭裁判所に審判の申立てができたとしても、常に父母以外の親族と子との面会交流が認められるわけではありません。「子の利益のため特に必要がある」と認められる場合でなければなりません。
家庭裁判所が父母以外の第三者と子との交流を実施する旨を定める場面は、基本的には父母間又は当該第三者と相手方となる父母との間に意見対立があるケースが想定されることになります。そうすると、家庭裁判所が(少なくとも一方の)父母の意思に反してでも子と当該第三者との交流を実施する旨を定めることが相当であるといえるのは、例えば、子と当該第三者との間に親子関係に準じた親密な関係が形成されているなどして、子の利益のために特に交流を認める必要性が高い場合に限られます。
まとめ
このように親以外の第三者と子との面会交流に関する規定が設けられましたが、あくまでも例外的な場合という位置づけになっています。祖父母の方で孫との面会交流を希望されている場合は、一度この分野に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
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