父母の人格尊重・協力義務とは

(※令和8年4月以降に施行が予定されている新法の話となりますのでご注意ください)

父母相互の人格尊重・協力義務とは


新法817条の12では、「父母は、婚姻関係の有無にかかわらず、子に関する権利の行使又は義務の履行に関し、その子の利益のため互いに人格を尊重し、協力しなければならない」と定め、従前には規定がなかった父母相互の人格尊重・協力義務が新しく規定されました。

父母相互の人格尊重・協力義務に違反する場合


では、どのような場合に父母相互の人格尊重・協力義務に違反するのでしょうか。以下のようなものが人格尊重・協力義務に違反する例とされています。

暴行、脅迫、暴言等の相手方の心身に悪影響を及ぼす言動や誹謗中傷、濫訴等をする場合
・親権者の一方による養育に対して、他の一方が不当な干渉をする場合
・父母双方が親権者である場合において、その一方が何ら理由なく他方に無断で子の居所を変更するなどする場合
・父母の協議や家庭裁判所の調停・審判により親子交流についての定めがされたものの、父母の一方が特段の理由なくこれを履行しない場合
・父母の一方が、養育費や親子交流など、子の養育に関する事項についての協議を理由なく一方的に拒否する場合
子の面前で他方の親の誹謗中傷等する場合
・父母の一方が、正当な理由なく、子の監護に関する裁判所の判断に従わない場合

DV・虐待などがある場合は

父母間にDVがあるような場合や、父母の一方から子に虐待があるような場合でも、父母間に人格尊重・協力義務はあるのでしょうか。
このような場合でも義務自体はあると考えられていますが、DVや虐待の加害者である父母と協力するということは実際には困難な場合が多いと思われます。このため、このような場合に無理に協力を求めるものではないとされています。

子どもを連れて別居することは人格尊重・協力義務に違反するか


父母双方が親権者である場合に、父母の一方が他方に無断で子どもを連れて別居する場合、父母相互の人格尊重・協力義務に違反することになるのでしょうか。

これについては、事情によっては、父母相互の人格尊重・協力義務に違反すると評価される場合があります
この判断にあたっては、子の居所を変更したことの動機や経緯、別居前後の協議の有無や内容、子の年齢や子の意向、従前の父母んと子の関係や、父母の関係などが考慮されます。
 なお、DVからの避難のように急迫の事情があるような場合は、人格尊重・協力義務に違反しないとされています。

父母相互の人格尊重・協力義務等に違反した場合は

父母相互の人格尊重・協力義務に違反した場合、どうなるのでしょうか。
その
場合には、家庭裁判所で親権者の指定、変更、親権喪失当の審判等がなされる際に違反の内容が考慮され、違反した者に不利となる可能性があるということです。

詳しくは今後の裁判所の運用を見守る必要がありますが、夫婦関係についてお悩みの方は、是非一度法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください。
(参考資料 法務省Q&A形式の解説資料(民法編)

関連記事

共同親権について
共同親権で親権を単独行使することができる場合
父母の一方が共同親権に反対していても、共同親権となる場合があるか
よくあるご相談(目次)

お一人で抱え込まず、弁護士にご相談ください 女性の初回相談無料 ※60分限定

お一人で抱え込まず、弁護士にご相談ください 女性の初回相談無料 ※60分限定

弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ兵庫県弁護士会所属

  • 神戸 078-382-3531
  • 姫路 079-226-8515 受付時間/ 平日9:00–20:00 土日応相談

弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ神戸事務所兵庫県弁護士会所属

所在地 〒650-0027 
兵庫県神戸市中央区中町通
2丁目1番18号 JR神戸駅NKビル9階
TEL 078-382-3531
FAX 078-382-3530
受付時間 平日9時00分~20時00分
最寄駅 神戸駅

弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ姫路事務所兵庫県弁護士会所属

所在地 〒670-0913 兵庫県姫路市西駅前町73
姫路ターミナルスクエア6階
TEL 079-226-8515
FAX 079-226-8516
受付時間 平日9時00分~20時00分
最寄駅 姫路駅