離婚後に単独親権から共同親権へ変更できるか
(※令和8年4月以降に施行が予定されている改正後の民法の話となりますのでご注意ください)
目次
離婚後に単独親権から共同親権へ変更できるか
すでに協議離婚が成立して単独親権となっているのに、その後、共同親権に変更することはできるのでしょうか。
結論としては、できることになります。すなわち、家庭裁判所が、子や子の親族からの請求により「子の利益」のために必要であると認めるときは親権者の変更ができ、新法により単独親権から共同親権への変更もできるようになりました。
もっとも、家庭裁判所に親権者変更を求めれば、無条件に単独親権から共同親権への変更が認められる訳ではありません。家庭裁判所は「子の利益のために必要がある」といえるかを検討して、親権者変更を判断することになります。
この判断基準自体は改正前からの変更がないため、単独親権から共同親権への親権者変更が認められるのは、従来のようにハードルが高い可能性があります。
「子の利益のために必要である」かの判断基準
家庭裁判所が「子の利益のために必要がある」と判断する場合の判断基準はどのようなものでしょうか。
これについては、父母が親権者を定めた協議の経過、その後の事情変更、その他の事情を考慮するとされています。
そして、父母が親権者を定めた協議の経過を考慮するにあたっては、父母の一方から他方に暴力があったか等を考慮するとされています。すなわち、離婚当時、協議によって親権者を決定したけれども、相手からのDVなどがあって意に沿わない形で親権者について合意をしたといったような事情があった場合、そのような事情が考慮されることになると考えられます。
一方が共同親権に変更することに反対していても、共同親権に変更されるのか
すでに離婚して単独親権となっているのに、親権者ではない親が共同親権に変更することを求められた場合、一方が反対していても、家庭裁判所の判断により共同親権に変更される場合があるのでしょうか。
親権者の変更は、家庭裁判所が「子の利益のために必要」であると認めるときに親権者を変更するとされているので、一方の親(単独親権の親)が反対していても、家庭裁判所の判断により共同親権に変更される場合もあると思われます。
今後の裁判所での運用を待つ必要がありますが、例えば、現在の親権者が子の養育に無関心である場合、子との関係が良好ではない場合など、もう一方の親の関与があることが子の利益になる場合には、一方の親が反対していても家庭裁判所の判断により、共同親権への変更が認められる場合があると考えられます。
父母の合意があれば共同親権に変更できるか
離婚の際に単独親権と定めて協議離婚をした後、父母が共同親権にすることを合意した場合、共同親権への変更が認められるでしょうか。
父母間で共同親権に変更する合意ができたからといって、無条件に家庭裁判所が共同親権への変更を認めるという訳ではありません。父母間の合意があっても、家庭裁判所が「子の利益に反する」と判断した場合は、共同親権への変更が認められない場合があります。
例えば、単独親権にしなければならないような場合、つまり父母間にDVがあるような場合、子への虐待があるような場合には、父母の合意があっても共同親権への変更が認められない可能性が高いといえます。
ただ、父母間に共同親権に変更することの合意があるという事情は、家庭裁判所の判断にあたっては考慮される事情の一つになると思われます。
親権者変更についてお悩みの方は、是非一度法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください。
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