婚姻費用の審判に不服がある場合はどうするか
目次
婚姻費用の審判に不服がある場合はどうすれば良いか
婚姻費用についての審判が出たけれども、内容に不服がある場合はどうすれば良いのでしょうか。
この場合、即時抗告という不服申立ての手続きをすることができます。
即時抗告がなされると審判は確定せず、抗告裁判所(高等裁判所等)に移り、抗告裁判所で更なる審理・判断がされることになります。
即時抗告はいつまでに行う必要があるか

審判に対する即時抗告は、審判の告知を受けた日から2週間以内にする必要があります(家事事件手続法86条1項)。
審判の告知を受けた者が複数いる場合には、この期間は各別に進行することになります。
このため、自分はすぐに審判を受け取ったが、相手は審判を受け取るのが遅かったという場合でも、自分が受け取った日から起算して2週間以内に即時抗告をする必要があります。
即時抗告はどのようにして行うか

即時抗告を行うには、抗告状を期間内(2週間以内)にその審判をした家庭裁判所(原裁判所)に提出して行います(家事事件手続法87条1項)。
抗告状には、①当事者と法定代理人、②原審判の表示とその審判に対して即時抗告をする旨を記載します。
ここでは、即時抗告をする具体的な理由(例えば、自分の年収の認定が間違っている等)まで記載する必要はありません。
抗告状の記載例1
抗告状の記載例2
抗告期間は2週間以内と比較的短いため、審判内容に不服がある場合は、まずは急いで期間内に抗告状のみ家庭裁判所に提出します。
抗告理由書の提出
抗告状を提出した後、抗告理由書を提出します。抗告理由書は、即時抗告の提起後14日以内に第一審の裁判所に提出しなければならないことになっています(家事事件手続規則55条1項)。
抗告理由書には、不服申立てをする理由を具体的に記載します。例えば、第一審の審判で認定された当事者の年収の金額が違う、既払いの金額が違う、事情が変わった等の主張です。そして、その主張を裏付ける証拠書類も併せて提出します。
第一審で家庭裁判所に提出した主張書面や証拠書類については、抗告審でも引き続き判断材料となりますので改めて提出する必要はありません。
即時抗告の注意点

即時抗告について注意する点は、即時抗告をしたからといって自分に有利な判断に変更される訳ではないのですが、それにとどまらず、自分に不利益な判断に変更されてしまう可能性があるということに注意が必要です。
例えば、婚姻費用が月10万円では低すぎるという理由で即時抗告をしたとしても、抗告審で婚姻費用を月8万円に減額されてしまうという場合もあります。このため、即時抗告を行う場合は、自分に不利な審判に変更されてしまう可能性があることを考慮して行う必要があります。
抗告審が出た後はどうなるか
高等裁判所での抗告審で決定が出て、それに対して不服がある場合はどうすれば良いでしょうか。
不服申立ての制度としては、最高裁判所への特別抗告という手続がありますが、これは憲法違反などの特別な理由がある場合に限られているため、通常の案件では特別抗告をすることはできません。
また、同様に、高等裁判所が許可した場合にできる許可抗告という不服申立ての手続もありますが、これも実際に利用できる場面は少ないです。
このため、抗告審の判断が最終判断となると考えて対応をする必要があります。
















