親権を単独で行使できる「日常の行為」とは何か?【共同親権】

Q. 離婚の際に共同親権にしました。共同親権下でも監護や教育に関する「日常の行為」であれば、片方の親が一人で親権を行使できるということですが、具体的にはどのような行為がこれに当たりますか。

A.「日々の生活の中で生ずる身上監護に関する行為で、子に対して重大な影響を与えないもの」がこれに当たります。具体的には、日々の生活や身の回りの世話に関するもの(食事、服装、髪の色など)、学校や教育に関するもので日常的なもの(学校行事への参加、給食費の納入など)、習い事の決定やアルバイトの許可などがこれに当たります。

「日常の行為」に該当する(単独で決定できる)ものの例

共同親権下でも「監護及び教育に関する日常の行為」に当たれば、親権を単独で行使することが可能です。
具体的には、以下のようなものが親権を単独で行使できる「日常の行為」に当たります。

日々の生活や身の回りの世話 子の食事、服装、髪の色、人付き合いなど
学校や教育に関すること 就学時の健康診断の受診、学校給食に係る手続(給食費の納付、アレルギーに係る連絡等)、出欠の連絡、個々の教育活動(宿泊活動・水泳授業・修学旅行・運動会・卒業式など)への参加の同意、学校が行う教育相談への対応(家庭訪問や三者面談への出席)など。
習い事・アルバイト 子の習い事や、高校生が放課後にアルバイトをすること。
旅行 通常の期間の観光目的の旅行(短期間の海外旅行も含む)。
宗教教育 子に重大な影響を与えないもの。

 

ただし、以上に該当する事項であっても、子に対して重大な影響を与えるものであれば、日常の行為には該当しません。

「日常の行為」に該当しない(原則として共同で決定すべき)ものの例

では、逆に「日常の行為」に該当しないものはどのようなものでしょうか。

進学・教育の根幹に関すること 入学、退学、転学、留学、休学等の手続(願書の提出、初年度や毎年の授業料の納付、退学に関する申請等)、長期間の交換留学やホームステイへの参加など。
就職に関すること 長期間勤務する会社への就職の許可など、子に対して重大な影響を与え得るもの。
転居 同一学区内であっても、移動距離にかかわらず子の生活に重大な影響を与え得るため、基本的には該当しません(※ただし、DVや虐待からの避難など「急迫の事情」がある場合は単独で決定可能です)。
財産や身分に関すること 子の財産管理、子の氏の変更、養子縁組に関する判断は、そもそも監護や教育に関する行為ではないため「日常の行為」には含まれません。

 

「日常の行為」に別居親が反対した場合は?

では、このような「日常の行為」について父母間の意見が対立している場合はどうしたら良いでしょうか。
例えば、同居親は子がアルバイトをすることに同意しているのに、別居親がこれに反対しているというような場合です

「日常の行為」(アルバイトの許可、学校行事への参加、日々の食事や服装など)に当たると考えられる場合は、意見の食い違いがあっても、同居親は別居親の同意を得ずに単独で決定(親権を行使)することができます。

もっとも、単独で決定できるとはいえ、親権は「子の利益」のために行使すべきものです。このため、意見が異なる場合には、父母相互の人格尊重や協力義務の観点から、できる限り父母間で話し合い(協議)をすることが望ましいとされています。

「日常の行為を別居親が妨害した場合の罰則はある?

同居親が日常の行為(アルバイトの許可など)を決定した後に、別居親がそれと矛盾するような妨害行為をした場合に、何らかの罰則があるのでしょうか。

この点については、直接的に罰則を定めるような規定ははありません。

しかし、同居親が単独で決定した「日常の行為」に対して、別居親が事後的に不当に反対し、矛盾する行動(妨害行為)をとり続けた場合、事情によっては、家庭裁判所の手続を経て、共同親権から「単独親権」に変更されたり、悪質な場合は、親権喪失や親権停止の判断につながる可能性があります。

また、不法行為に該当すると判断されるような場合は、損害賠償義務が生じることも考えられます。

このように、別居親が不当な妨害行為を繰り返すことは、結果として自身の親権を失うなど、法的に大きな不利益を招くことにもなりますので注意が必要です。

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離婚後、単独で子どもの引越先を決めることはできるか?【共同親権】
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