養育費未払いに悩む方へ。弁護士が解決策を詳しく解説

養育費未払い時の対処法

養育費について取り決めがあるにもかかわらず未払いが生じた場合、以下のような対応が考えられます。

相手への連絡

相手と連絡が取れるようであれば、まずは連絡して未払いであることを伝えましょう。ただし、過去にDVやモラハラなどを受けていたような場合には、ご自身の心身の安全が最優先です。無理せず他の方法を検討してください。

内容証明郵便の送付

次に考えられるのが、内容証明郵便を送付して請求する方法です。内容証明郵便の送付は、請求の意思を明確に伝える意味でも重要です。弁護士に依頼して弁護士名で送ることもできますが、当事者本人で送ることも可能です。

 履行勧告

養育費について調停調書や審判書がある場合、裁判所から義務者に対し支払いを促す「履行勧告」という手続をとることができます。申立ては口頭でも可能であるため簡便な手続きです。しかしがら、これに反しても罰則や強制的に養育費を支払わせるような効力はないため、実効性を欠く場合が多いという難点があります。

履行命令

履行勧告と同様、調停調書や審判書がある場合に、裁判所から義務者に対して支払いを命じる手続です。履行勧告と異なるのは、履行命令の場合、命令に従わず支払いを行わなかった場合には、１０万円以下の過料が科される可能性がある点です。この点で、履行勧告に比べ、より強力に履行を促す手続きといえるでしょう。ただし、未払い養育費の直接の回収につながらない場合も多いです。

強制執行

公正証書・調停調書・審判書などによって養育費についての取り決めがあれば、強制執行の手続をとることができます。強制執行を実施するにあたっては、差押えの対象となる財産等を把握している必要がありますが、これらの情報を得るための開示手続等も整備されています。
差押えの対象は給与債権が一般的で、差押えがされると義務者の勤務先から権利者に対し、直接養育費相当額が支払われることになります。預金を差し押さえる方法もあります。強力かつ実効的な手段と言えるでしょう。

養育費未払いを放置するデメリット

養育費の未払いが生じた場合は、速やかに対応をすることが成功につながります。特に、公正証書・調停調書・審判書などで養育費を定めていない場合、未払いを放置すると、その未払いの間の養育費を後から精算的に支払ってもらうことができない可能性があります。これは養育費の支払いの始期が、実務上権利者が明確に請求の意思を示したときとされているためです。そのため、未払いが生じた場合には、速やかに調停申立てなどの手続をとる必要があります。

養育費未払いの防止策

そもそも養育費の未払いが生じないようにするためにはどうしたらよいでしょうか。
対策としては、もし未払いが生じたら、すぐに強制執行ができる状態にしておくことが考えられます。
そのためには、養育費の合意をする際、口頭での約束や個人間で書面を交わすだけでなく、公証役場で公正証書を作ったり、調停を申し立てて調停調書を作ってもらったりしておくことが重要です。これにより、万一のときにはスムーズに強制執行ができるだけでなく、支払い義務者にとっては、支払わなければならないというプレッシャーにもなります。

弁護士の必要性

養育費の未払いが生じた場合に、速やかに対応するのが回収のポイントと言えます。このため、早い段階で弁護士に相談されることをお勧めします。
また、事前の対策としては離婚時に公正証書を作成したり、調停を申し立てて調停調書にしておくことが重要です。離婚後の未払いのリスクを減らすためにも、離婚時にも弁護士にご相談されることをお勧めします。

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