審判離婚
審判離婚は、離婚調停で合意に達しなかった場合に、家庭裁判所が審判で離婚を成立させることです。
離婚調停では当事者が合意に達しなければ離婚することができません。しかし、当事者間で概ね離婚についての合意ができているものの、わずかな意見の違いで調停を成立させることができない場合など、家庭裁判所が離婚を成立させるのが相当と判断したときに、家庭裁判所が審判を下して離婚を成立させることです。
審判離婚が行われることは、実務上まれであり、次のような場合に限られているのが実情です。
・当事者双方が離婚に合意しているが、病気などなんらかの事情により調停成立時に出頭できないとき
・離婚に合意できない主な理由が感情的反発であるとき
・双方が審判を望んでいるとき
・調停案にほぼ合意しているが、一部に限って合意できず調停不成立になるとき(財産分与の額など)
・婚姻関係が破たんしているのに相手方がいたずらに調停期日に出頭しないとき
審判では、離婚の判断のほか、親権者の決定、慰謝料や養育費の金額なども命じられます。
ただし、審判がなされても、当事者のどちらかが2週間以内に異議を申し立てれば、審判は無効となります。
異議申し立ては、夫婦のどちらかが異議申立書を作成して家庭裁判所に提出すれば良く、異議申し立ての理由も問われません。このため、異議申し立てにより審判がすぐに無効にされてしまうという難点があります。
審判後、2週間以内に異議申し立てがなければ、審判は確定します。
審判が確定すると離婚は成立しますが、市区役所に離婚届を提出する必要があります。
離婚届を提出するには、家庭裁判所から審判書謄本と確定証明書を交付してもらい、審判確定後10日以内に、これらの書類と戸籍謄本を添えて役所に離婚届を提出します。
なお、このときに相手方に離婚届に署名押印してもらう必要はなく、どちらか一方のみの手続で離婚届を提出することができます。