離婚前に別居する重要性とその法的メリット・デメリット

別居の重要性

離婚を決意した際、最初に検討すべき重要なステップの一つが「別居」です。特にDVやモラハラを受けている場合には、心と身体の安全を確保するために早急な別居が必要不可欠と言えるでしょう。

また、別居は単なる生活の分離だけでなく、法的にも重要な意味を持ちます。財産分与や婚姻費用、親権に関する取り決めにおいて、別居は大きな影響を与える要素となります。本記事では、特に別居の法的な側面について解説します。

離婚前に別居する法的な重要性

離婚前に別居をする場合、別居は以下のような意味を持ちます。

婚姻費用の請求が可能になる

別居をすると、配偶者に対して婚姻費用の請求をすることができます。

婚姻費用を請求できるのは、別居後、離婚が成立するまでの期間となります。また、婚姻費用を請求できるのは、自分の収入が配偶者の収入より少ない場合や、自分が子どもを養育している場合となります。
別居を開始した場合は、できるだけ早く、メールやLINE、手紙など証拠が残る方法で、配偶者に婚姻費用の支払いを請求しておくことが重要です。

平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所

財産分与の基準日としての役割

別居日は、通常、財産分与における基準日となります。

つまり、同居中に夫婦で築いた財産が財産分与の対象となるため、別居後に各自が取得した財産(給料など)は分割対象外となります。別居をすることで、財産分与の対象となる財産を確定させ、またそれ以降に自身が得る財産については、分与の対象から除外することができるのです。

離婚調停や裁判における離婚事由としての意味

別居は、婚姻関係が破綻しているかを判断する上で非常に重要な意味を持つことになります。

離婚訴訟では、別居期間が長期間に及ぶと婚姻関係が破綻していると認められ、離婚が認められやすくなります。一般的には、別居が5年程度続くと、法的に「婚姻が破綻している」と判断される可能性が高くなるでしょう。
協議離婚や調停離婚の場合でも、別居期間が長くなると交渉に影響してくることになります。

別居のデメリット

では、別居にはデメリットはあるでしょうか。
離婚を希望していない場合、別居をする最大のデメリットは、離婚へのカウントダウンが始まってしまう点です。
また、離婚を希望する側でも、いくつか注意すべき点があります。

不貞慰謝料請求が困難になる可能性がある

配偶者が不貞行為をしている可能性がある場合、一度別居をしてしまうと、その後に証拠写真等が撮れたとしても、慰謝料請求が難しくなる場合があります。

別居により婚姻関係が破綻し、破綻後に不貞行為が行われた場合は、慰謝料請求が認められなくことがあります。
このため、配偶者の不貞行為が疑われる場合は、証拠が十分に確保できているかということと、別居の必要性・緊急性となどを考慮して、別居するタイミングを決めるのが良いでしょう。

財産資料の収集が困難になる

一度別居をしてしまうと、配偶者の情報を得にくくなり、配偶者がどのような財産を管理しているのかを把握することが難しくなります。このため、別居する前に、配偶者が管理している財産の情報を得ておくことが重要となります。

生活費の負担

別居後、収入が高いほうの配偶者は、収入が低いほうの配偶者に婚姻費用を支払う必要があります。
また、世帯が二つに分かれるため、同居時よりも全体として生活費の負担は大きくなるのが通常です。
このため、別居後に予想以上に生活費の負担が重くなることがあります。

環境の変化

子どもを連れて別居をする場合、家庭環境が大きく変わるため、子どもに与える影響も懸念されます。特に、転校や生活環境の大きな変化を伴う場合、子どもへの心理的な影響を最小限に抑えるために、子の監護や面会交流について、子の利益を最優先として相手と十分に話し合うなど、適切な準備と配慮が求められます。

離婚前に別居をするにあたり準備しておくこと

別居開始日を明確にする

別居を開始した日を客観的に証明できるよう、明確に証拠を残しておくことが重要です。既に説明した通り、この日が財産分与や婚姻費用の基準日となるためです。単なる冷却期間などではなく、離婚を前提とした別居であることを記載したメールを相手に送るなどして、別居を開始した証拠をしっかりと保管しておきましょう。

婚姻費用の請求準備

別居後、スムーズに婚姻費用を請求するために、調停手続や必要書類などについて確認しておきましょう。裁判例は、通常、相手が婚姻費用の支払いに応じず未払い期間が生じた場合の精算開始時点を別居時ではなく、請求時としています。スムーズに調停申立等を行い、最終的に未払い期間を生じさせないようにする必要があります。

子どもに関する取り決めを行う

子どもがいる場合、子の福祉を最優先に、親権や面会交流の取り決めを事前に行い、子どもの生活が安定するよう配慮することが求められます。子どもの意見を尊重した上で、父母間で合意を形成しておくことが望ましいでしょう。

別居前に弁護士に相談することは有効

別居もしていない段階で弁護士に相談するのはまだ早いと思われるかもしれません。しかしながら、決してそんなことはありません。
別居する前に弁護士に相談することで、適切な別居のタイミングや、別居前に行うべきこと等についてアドバイスを得ることができます。十分な準備を行えば、自分の希望に沿う離婚を実現しやすくなります。
このため、別居はしていないけれど、今後別居しようかとお考えの方は、是非一度法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください。

 

 

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