NISA口座の財産分与について
目次
NISA(少額投資非課税制度)とは

NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)は、2014年からスタートした比較的新しい制度です。
株式や投資信託などから得た利益については通常約20%の税金がかかりますが、NISA口座で投資した利益については非課税になる制度です。
なお、NISA口座で投資できる上限額は決まっています。
NISA口座の資産は財産分与の対象となるか
NISA口座に積み立てて運用している金融資産は、離婚の際、財産分与の対象となるのでしょうか。
NISA口座の金融資産についても、婚姻期間中に積み立てられたものであれば、離婚の際には、財産分与の対象となります。
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が築き上げた財産を清算する制度であり、NISA口座の資産であっても婚姻期間中に築いた夫婦の財産といえるためです。
NISA口座の資産が財産分与の対象とはならない場合とは

NISA口座の資産が財産分与の対象とならないのはどのような場合でしょうか。
これについては、夫婦の一方が婚姻前から有していた資産や相続または贈与により取得した資産をNISA口座に積み立てていたような場合は、特有財産であり財産分与の対象とはなりません。
ただし、法律上は、それが特有財産であると主張する方が証明責任を負うことになります。
このため、長い婚姻生活の間に夫婦共有財産と特有財産が混ざってしまい、それらを区別することが難しい状態となっている場合は、共有財産と扱われて財産分与の対象となる可能性があります。
NISA口座の資産について財産分与をする方法

NISA口座の金融資産について財産分与をする場合、どのような方法で財産分与を行うのでしょうか。
NISA口座は、一人一口座しか開設できず、口座の名義変更を行うこともできません。
このため、NISA口座の名義変更をしたり、2分の1部分のみを譲渡するというような方法はできません。
金融資産を売却する方法
そこで、財産分与の方法としては、この金融資産を売却して得た金銭を2分の1ずつ取得する方法が考えられます。
夫婦の財産としてNISA口座しかないような場合などは、この方法を取ることを検討することになります。
なお、この方法は、金融資産の売却時期等によっては、積み立てた金額よりも低い金額で売却することになってしまう場合もありますので注意が必要です。
評価額の2分の1を支払う方法
その他、NISA口座の名義人が同口座の金融資産を取得し、その代わりに口座名義人が他方に対して、この金融資産の評価額の2分の1相当の金銭を支払うという方法があります。
NISA口座が継続的な投資を想定した制度であるため、NISA口座以外に夫婦の財産があるような場合であれば、こちらの方法を取ることになるかと思われます。
この方法により財産分与を行う場合には、NISA口座の資産をいくらと評価するのかが問題となります。
NISA口座の資産の評価をどのようにするのか

NISA口座の金融資産は、評価額が一定しているものではなく日々評価額が変動します。
そのため、財産分与をするにあたって、NISA口座の金融資産をいつの時点で評価するかが問題になります。
離婚時の財産分与における評価の基準時は、財産分与時の時価(現在の時価)となります。
つまり、NISA口座の資産が、投資後の資産運用により評価額が上がって、財産分与時に評価額が上がっている場合はその評価額となります。
反対に、投資後、資産運用により評価額が下がってしまい、財産分与時にも評価が下がっていた場合は、下がった価格が評価額となります。
なお、別居後にNISA口座の金融資産を売却した場合は、売却時点の価格を評価額とします。
基準時が違う点に注意
NISA口座の金融資産の財産分与については、異なる2つの基準時があることに注意します。
✔ 財産分与の対象となるかは、婚姻中に投資したもので別居時に有していた財産であるかを基準に判断します。
✔ NISA口座の金融資産の評価をする際には、財産分与時(現在)の時価で評価します。
NISA口座の金融資産についての財産分与でお悩みの方は、是非一度法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください。
















