公務員の離婚問題
1.特徴
夫婦の一方又は双方が公務員の場合、離婚にあたり考慮しなければならない特有の問題があります。公務員の場合、一般的に収入や地位が安定しており、退職金や年金が多い場合があるという特徴があります。
また、このために慰謝料や養育費、財産分与など、公務員の相手方との間で金銭の支払約束ができた場合は、実際に回収できる可能性が高いことになります。
なお、国家公務員の平均年収が約663万円、地方公務員の平均年収が約729万円というデータもあるようです。
2.特に気を付ける点
①財産分与
公務員の場合、自ら加入する共済組合の貯金をされていることがよくあります。この貯金の利率は非常に高いことから、この貯金をされている方が結構いらっしゃるようです。まとまった金額を貯金されている場合もあるようです。
預貯金といえば,ゆうちょ銀行やその他の民間の金融機関の預金にばかり注意がいってしまいますが、この共済組合の貯金も財産分与の対象とすることを忘れないようにしなければいけません。
②退職金
将来受け取るはずの退職金が財産分与の対象となるかは法的に一つの問題となっています。この点については、近い将来に受領できる蓋然性がある場合に、将来の退職金を財産分与の対象とすることができることについては、判例が確立しています。
問題は、その評価方法、支払時期、何年先の退職であれば認められるのかということですが、公務員の場合、退職金を受領する蓋然性が高いので、退職が10年以上先であっても,財産分与の対象となる可能性があります。
夫が勤続年数27年、9年後に定年退職する国家公務員の事案で、「国家公務員退職手当法に基づく退職手当の支給を受けたとき、550万円を支払え」と夫に命じた判例があります(名古屋高裁平成12年12月20日判決)。
③年金
公務員の場合、国家公務員共済年金、地方公務員共済年金が財産分与の対象となります。この点も一般の年金(厚生年金など)とは異なるので、間違えないようにする必要があります。
このように夫婦の一方又は双方が公務員の場合、離婚にあたり考慮しなければならない特有の問題があります。したがって、離婚問題を得意とする弁護士にご相談されることをおすすめします。