大学教授の離婚問題
大学教授特有の離婚問題
1.特徴
夫婦の一方又は双方が大学教授の場合、離婚にあたり考慮しなければならない特有の問題があります。
大学教授の場合、平均年収が高いことから、慰謝料や財産分与などが高額化したり,財産分与が複雑化して紛争となりやすい傾向にあります。
ちなみに、大学教授の平均年収は約1000万円以上というデータもあるようです。また、給与以外にも年間数十万円の研究費が与えられます。著書の出版等で副収入を得ることも可能です。
少子化の影響で大学経営が悪化していることから、年収は減少傾向にありますが、まだまだ高水準にあり、地位も安定しています。
2.特に気を付ける点
①財産分与
一般的な夫婦の離婚の場合、財産分与の割合は基本的には2分の1ずつなのですが、夫婦の一方が大学教授で高収入を得ている場合は、その割合が修正されることがあります。
高収入の医師の事案ですが、例えば、福岡高裁昭和44年12月24日判決の事案では、「夫が医者として病院を開業し、1969年当時の年収が1億円を超え、かつ1億円を超える資産を保有している事案で、2分の1を基準とすることは妥当性を欠く」として、妻に2000万円の財産分与しか認めませんでした。
②退職金
勤務する大学を変わるごとに退職金を得ることが多いです(但し、同じ大学に一定期間勤務することを退職金支給の要件としていることが多いでしょう)。なお、勤務する大学を変わるにしても国立大学に勤務し続けている場合や、一つの大学に長く勤務している場合、退職金は高額になる傾向にあります。
また、将来の退職金が財産分与の対象となるかが問題となりますが、近い将来に受領できる蓋然性がある場合に、将来の退職金を財産分与の対象となしうることについては、判例が確立しています。
夫が勤続年数27年、9年後に定年退職する国家公務員の事案で、「国家公務員退職手当法に基づく退職手当の支給を受けたとき、550万円を支払え」と夫に命じた判例があります(名古屋高裁平成12年12月20日判決)。
このように夫婦の一方又は双方が大学教授の場合、離婚にあたり考慮しなければならない特有の問題があります。したがって、離婚問題を得意とする弁護士にご相談されることをおすすめします。