不貞をしたモラハラ被害者は離婚を求めることができるか
はじめに
相手方からのモラハラに疲れ、婚姻関係にない第三者と不貞関係を持ってしまった配偶者が離婚を求めることは法的に可能なのでしょうか。
いわゆる「有責配偶者からの離婚請求」は、こうした不貞行為を行った配偶者が離婚を求める場合をいいます。ただ、有責配偶者からの離婚請求といっても、まずは他方の配偶者と協議離婚できないか話合いを行い、それがうまくいかなければ調停離婚を試みる、それでもダメならば離婚訴訟を提起するという流れ自体は、一般的な離婚と何ら変わるところはありません。
もっとも、有責配偶者からの離婚請求特有の問題点もありますので、以下ではその点を解説しています。
別居期間について
離婚訴訟を提起する場合には、「別居期間が相当期間長期に及んでいること」を主張立証し、夫婦関係がもはや破綻していることを理由に離婚を求めることが可能です。夫婦の婚姻期間の長短等さまざまな事情により左右されますが、一般的には5年程度の別居が目安とされています。
一方で、不貞配偶者が別居の長期化を理由に離婚訴訟を行う場合、一般的な目安より長期の別居期間が必要と言われています。形式的に●年別居していればよいという基準があるわけではなく、夫婦の年齢や同居期間をふまえて別居期間が長期間といえるか、夫婦の間に未成熟な子が存在しないか等さまざまな条件を考慮した上で判断されます。おおよそ7年から8年以上の別居期間を経て、ようやく訴訟による離婚が認められるケースが目立ちます。
不貞慰謝料について
離婚自体とは別の問題になりますが、不貞を行った場合、有責配偶者は他方の配偶者から不貞慰謝料の請求をされる可能性があります。モラハラがあったからこそ配偶者以外の第三者と不貞に及んでしまったのだとしても、それだけを理由に不貞慰謝料の請求を免れることはできません。
モラハラの配偶者が不貞の確たる証拠を収集していた場合、たとえモラハラの被害者といえども一定の金額を支払わざるを得ない状況になる可能性がある上、上述のとおり、離婚をしようにも長期の別居期間が必要となりかねない等、法的に不利益な影響が少なくありません。
まとめ
日常的にモラハラを受け、精神的に疲弊しきっている時には、誰かに頼りたくなるのは当然です。ただ、不貞関係を持つまでに至ってしまった場合、意図せずとも様々な不利益が生じてしまうため注意が必要です。
モラハラの相手と離れたいというお悩みの方は、どのような形で対応すればよいのか一度弁護士へご相談下さい。
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