プロ野球選手の離婚問題
1.特徴
夫がプロ野球選手の場合、離婚にあたり考慮しなければならない特有の問題があります。
プロ野球選手日本人選手の平均年俸は3793万円というデータもあるようですが、240万円から数億円の人までいるといわれております。シーズンオフに球団との契約更改交渉を経て次年度の年俸が決まり、それを次年度に10回の分割支払でもらうことが多いようです。
当然、年俸が多い人ほど、慰謝料や財産分与などが高額化したり、財産分与が複雑化して紛争となったりする可能性があります。
なお、推定年俸につきましてはプロ野球選手名鑑等に公開されています。
2.特に気を付ける点
①財産分与
一般的な夫婦の離婚の場合、財産分与の割合は基本的には2分の1ずつなのですが、夫が高収入の場合はその割合が修正されることがあり、高年俸のプロ野球選手の場合にもその可能性があります。つまり、夫婦の財産の蓄積が主として夫の手腕力量によると言えるような場合は、財産分与が2分の1ずつとならないケースもあるのです。
例えば、医師の事案ですが、「夫が医者として病院を開業し、1969年当時の年収が1億円を超え、かつ1億円を超える資産を保有している事案で、2分の1を基準とすることは妥当性を欠く」として、妻に2000万円の財産分与しか認めませんでした(福岡高裁昭和44年12月24日判決)。
②退職金
またプロ野球選手の場合、当然退職金はありませんが、入団する際に契約金というものがあり、選手にとってはそれが一般社会の退職金のような意味合いを有します(法的な退職金という意味ではありません。)。
一般的な退職金は財産分与の対象となるケースもありますが、プロ野球選手が独身の際に契約金を取得していれば、この契約金は選手の固有資産と判断され財産分与の対象にはならないものと考えられます。
このように夫がプロ野球選手の場合、離婚にあたり考慮しなければならない特有の問題があります。したがって、離婚問題を得意とする弁護士にご相談されることをおすすめします。