職業別モラハラの類型
目次
1 はじめに
近年、いわゆるDVのような、直接的な暴力だけではなく、モラルハラスメント(モラハラ)の問題が顕在化しています。この記事では、モラルハラスメントとは何か、そして、職業別のモラルハラスメントの特徴について解説します。
2 モラハラとは何か
モラハラ(モラルハラスメント)とは、家庭などの小社会において優位にある人間が劣位にある人間を軽視して傷つけることをいいます。家庭内でモラハラが行われる場合、夫から妻に、精神的に苦痛を与える暴言を吐く、睨みつける、嫌がらせをするなどの言動が行われることが多いです。
3 モラハラ加害者の特徴
モラハラ加害者の特徴として、社会的に一定の地位や職業に就いているということが挙げられます。部下や顧客に上の立場から指示を出すことに慣れてしまい、家庭内でも同じ感覚で家族に接してしまったり、自分が家族を養っているという感覚が強く、家庭内でも優越的地位に立とうとするのでしょう。
4 職業別モラハラの類型
以下では、職業別に、モラハラの類型をまとめました。勿論、下記の職業に就いている方のほとんどは立派な人格者であり、一部のモラハラ夫が以下のような傾向を有しているにすぎません。
⑴医者
医者の中には、「先生」と言われ、上から接することに慣れてしまい、妻との関係でも優位に立とうとする方もいます。医者の社会的地位は高いこともあり、医師がモラハラの加害者になると、モラハラの程度もより苛烈になることが多いです。
⑵公務員
公務員、特に上下関係の厳しい組織で日常的に働いている人の中には、対等な人間関係を築くことに慣れておらず、モラハラに対する抵抗がない方もいます。職種にもよりますが、公務員の中には勤務体系が不規則なケースも多く、そのような場合には他の職種と比較してもストレスがたまりやすいとも言われています。その結果として、ストレスの発散対象が家族に向くことがあります。
⑶経営者
経営者の中には、ワンマン社長として会社の中で独裁的にふるまったり、社員などの周りが本人を増長させることによって、家庭内でも自分の意見が通ることが当たり前だと感じてしまうことがあります。
⑷高所得会社員
高所得の会社員は仕事ができます。仕事ができる男は、家事や育児もできることが少なくありません。家庭内でも、自分と同じレベルで家事や育児ができることをもとめ、できない場合には「なぜできないのか」などと、相手を責めることがあります。
4 モラハラにあった場合どうすればいいのか
モラハラを行う方の特徴として、「社会的に一定の地位に就いている」方が多く、また、「比較的コミュニケーション能力が高く、外部からの評価は高い」という点が挙げられます。
上記の特徴を有する方は、給与面でそれなりに高いことが多いです。
そのため、これからの生活やお子様の学費などのことも考えると、離婚などを切り出すことができない方もいらっしゃるかもしれません。
また、モラハラ夫と同居しているうちは、夫に何かにつけて文句を言われても、「自分が間違っている」「自分が悪い」などと考えてしまっているかもしれません。
しかし、ご自身がいくら我慢してもモラハラが改善することはありません。
モラハラ夫とは別居し、離婚に向けた話し合いを進めた方がよいかもしれません。別居したとしても、離婚するまでの間は婚姻費用を支払ってもらうことができますし、離婚の際には財産分与として一定のまとまった金銭をもらい、離婚後にお子さんにかかる費用は養育費として請求することができます。
5 おわりに
モラハラ夫がどのような職業に就いている場合でも、ご自身でモラハラ夫と交渉するのは極めて困難です。モラハラに悩まれている方、モラハラを理由に離婚をお考えの方は、離婚に詳しい弁護士に相談するのが良いでしょう。