共働きで、夫も育児に協力しているが、親権者になることはできますか?
1 裁判所による親権者の判断基準
調停等において親権者を決める場合,様々な要素を考慮して,子の利益(子の福祉)の観点から,どちらが親権者にふさわしいか判断されます。考慮される要素としては,㋐監護能力,㋑監護の継続性,㋒子の奪取の違法性,㋓子の意思,㋔きょうだい不分離,㋕子が幼児の場合の母性優先等があります。
2 夫も育児に協力していることは?
夫も育児に協力しているという場合,夫にも一定の監護能力(㋐)があるといえそうです。これは,夫にとっては有利なポイントです。しかし,夫が育児に協力しているからといって,妻に監護能力(㋐)がないということにはなりません。
また,育児への協力と一口に言っても,その協力のレベルは様々です。「保育園への送迎は夫がしているけれど,食事の用意や寝かしつけ等,大抵のことは妻がやっている」という場合であれば,妻の方が十分な監護能力(㋐)を有しているといえるでしょうし,監護の継続性(㋑)という意味でも,妻の方が親権者にふさわしいといえそうです。逆に,「家事・育児はほとんど夫がやっている」という場合は,夫の方が親権者にふさわしいといえそうです。これまで双方がどのように育児に関わってきたか,が重要です。
3 まとめ
調停等では,これまで子の面倒は誰がどのように見てきたのかを主張していくことになります。親権者について争いのある方は,ぜひお早めに,弁護士にご相談ください。