熟年離婚
熟年離婚に特有の問題
熟年離婚のポイント
熟年離婚とは一般に結婚20年目以降に離婚することをいいます。平成19年に始まった年金分割制度も後押しとなって、近年、熟年離婚の件数が急増しています。
熟年離婚をするにあたり最大のポイントは、
離婚後の生活をいかに安心して過ごせるかにあります。
そして、離婚後、安心して暮らすためには、財産分与の確保と、年金分割等の法制度の活用が重要となります。
そのためにも、離婚までの周到な準備が欠かせません。
熟年離婚と財産分与・年金分割
熟年離婚を考えるにあたり、最も問題となり得るのが財産分与でしょう。結婚期間が20年以上にも及びますから、財産分与の対象となる範囲も広く、金額も大きくなる傾向にあります。
熟年離婚をお考えの方は、まず財産分与の対象に漏れがないように、夫婦の共有財産をリストアップしてみましょう。主な財産としては、現金の他に、不動産、生命保険、株式等の有価証券、会員権、車、退職金等が考えられます。
また、結婚前の預金や相続財産といった特有財産についても、夫婦の共有財産との混同を防ぐため、資料の収集・整理をするようにしてください。
また、安定的な収入として年金を確保できているか否かも大切な問題です。
まず、平成19年4月1日以後に離婚をした場合、婚姻期間中に納付した年金のうち厚生年金や共済年金の報酬比例部分に限って分割の対象となり、夫の名前で納めた年金のうち、妻が受給できるのは最大2分の1までとなります。なお、この分割割合の決定には、お互いの合意が必要となります。
そして、平成20年5月1日以後に離婚をした専業主婦の場合、平成20年4月1日以降に納付した年金については、夫の厚生年金・共済年金の保険納付実績を自動的に2分の1に分割することができます。
離婚後の生活プランをたてるにあたっては、上記の年金分割制度をしっかりと理解されたうえで、離婚後にどの程度の金額が受給できるのかを把握する必要があります。
なお、年金分割の請求期限は、原則として、離婚をした日の翌日から起算して2年以内ですので、それまでに請求の手続きをとるようにしてください。
熟年離婚と相続
熟年離婚をされた方の場合、相続時に問題が複雑化する可能性があります。
特に、若い人と再婚したり、子どもがいる人と再婚したりした場合には、親族間に争族が発生しないように、相続対策をしておくべきでしょう。このように熟年離婚においては、相続も念頭に置いておく必要があります。遺言の作成もご検討ください。
熟年離婚における専門家の選び方
このように熟年離婚には特有の問題があります。専門家を選ぶにあたっては、熟年離婚の問題に精通している方を選ばれることをお勧めします。
また、相続も密接に関係してきますので、相続問題にも詳しい専門家であればなおよいでしょう。なお、熟年離婚問題を解決するにあたり、代理人となれるのは弁護士だけです。
ですので、離婚を決意されたときには、ご自身で相手方と話し合い等ができるのか否かという点も考慮して、専門家を選ばれるとよいでしょう。